はじめに

研修医の最初の段階でたくさんの本を買うのは、非常に難しい。給与面でも本を選択する指標面でも。そういったためらいに対する回答例として、本文書を捧げる。

今回の改訂で「内容の重複」を許容する方針とした。つまり、同系統の本を2冊推奨することがある、ということである。これは流派的違いや考え方・捉え方の違いを明示するためである。「バイブルがない」というのは頼りないと思うかもしれないが、各人の研修病院(もしくは地域)独自の文化がある程度発展していて、なおかつ各人の特性を考慮すると、それぞれが照らし合わせて、どういうあり方が望ましいかを個人自らが考えて行く必要がある、と考えたためである。

なお、個人的には、現場での横断検索を推奨しているため、電子書籍での購入を推奨する。詳細については別記事を参照。

研修医におすすめのアプリ

「最初」のおすすめ本

京都ERポケットブック 第2版【電子版】 | 医書.jp

当直ハンドブック2024【電子版】 | 医書.jp

まず、救急外来や当直での対応マニュアルとして、この2冊のいずれかもしくは両方を推奨する。

前者は診療の流れを見た目で明示することに重きを置いており、絵柄が派手だと言えるだろう。後者は少ないページ数(見開きで)やるべきことがまとまっており、シンプルさが売りだと言える。イメージがつかない段階では前者の有用性が勝るが、イメージがある程度ついている状態なら後者の方が有用性が勝るだろう。また細かい理屈の説明まで含まれているのは前者であり、「マニュアル」らしさを求めるなら後者になる。

自身の認識パターンによって、推奨が変わる、と言えるわけだ。例えば私の場合「完全カメラアイ」の人間ではあるのだが、文字が読めなくなってしまった面もある。そう聞くと前者が向いているように見えるが、残念ながら前者だと余計な情報が多すぎて全体像が認識できないため、後者の方が好みだったりする。この辺の好みは実際に自己分析できている人間は少なく、自己分析できていない者は「騙されたと思って」両方の本を買って使い比べてみると良い、と私は思う。

なお、基本的にそのときの最新版を買うだけで十分であり、年次型出版の本は毎年更新するために買う必要性は乏しい。詳細な理屈は下記参照。

研修医にお勧めしない本

研修医のための内科診療ことはじめ 救急・病棟リファレンス【電子版】 | 医書.jp

内科診療の「な」の字も分からない段階から、研修医生活は始まる。そんな中で最初に購入して欲しい本が本書である。